純白のポスト

 夕方、郵便局にて遭遇。残念なことに携帯さえ所持しておらぬ故に、撮影成らず。
翌朝カメラを携えて再挑戦に赴く。
自転車で郵便局に近づく私。周りに立ち込める異臭に気付き、心臓が跳ねる。
「このシンナー臭……。まさか、すでに!??」
角を曲がれば、開ける視界。ポストは……。
まだ、白かった!!! けれど、彼の足元には汚れ避けのためのシートが広げられていた。作業者らしき人に声を掛ける私。純白のポストの勇士をフィルムに刻み付けたい旨を伝える。
「いいよ〜。あ、これも取って上げようね」
わざわざシートを取ってくださった作業者様に敬礼! 
込み上げる羞恥心を抑えながらも、四枚もの撮影は成功を収めた。その私の直ぐ横では、今まさにペンキを混ぜつつ、中年男性が用意を着々と整えつつある。
まさかの滑り込み撮影。 嗚呼、恥ずかしや、恥ずかしや。  されど、昨日よりも今日の方が晴天に恵まれ、写真の出来も良かろう、と己を慰め帰路についたのであった。