裁判所三回目・続

 ちょっと複雑なので、登場人物を先に書きます。
被告人(おじいちゃん)、 その妻(おばあちゃん)、 娘、 その旦那、 娘の子供(孫)、 娘の不倫相手 の六人です。
 被告とその妻は再婚で、娘は妻の連れ子です。被告と娘は義理の親子です。
 傷害事件の当事者はおじいちゃんと娘の不倫相手。いわゆるケンカです。
 被告(おじいちゃん)とその妻(おばあちゃん)は年金暮らしでアルバイトもしている。娘は四十歳以上。娘の不倫が原因で離婚をした。子供の親権は旦那さんが取り、娘はアパートで一人暮らし。離婚の時の引越しでは、おじいちゃんが家具を買ってそろえてあげた。娘のアパートと被告の家、不倫相手の家もかなり近い。
 娘は不倫相手と同棲しているような状態。孫が就職の報告に、被告の家に行く約束をする。おじいちゃんとおばあちゃんはご馳走や、お小遣いをあげようと用意する。娘が迎えに行って、孫だけを置いて不倫相手に会いに行ってしまう。
 娘は両親と口をきかず、避けている。被告に性的な暴行を受けたこともある。
 (なんで、子供を祝ってやらないのか。就職祝いを皆で一緒にしないなんて面白くない)と被告は不満に思った。
 不倫相手と娘の交際には、被告もその妻も反対している。被告「俺は、あいつを信用していない!」 娘は合法ハーブを使っていて、それも心配。
 半年前にも「娘と別れろ」と不倫相手に電話をしている。けれど、らちがあかなくて、そう長くは続かないだろうと様子を見ることにした。
 日ごろの不満が積もり積もって、事件当日に「今日こそ別れさせる!」と娘を不倫相手の家から連れて帰ろうと赴く。
 「娘は居ねーよ。何の用だ?」と不倫相手が家から出てくる。相手が先に被告の肩を押した。被告は負けじと殴る。相手は認めていないが、目に指を入れてきたり、蹴りを入れたり。見ていた人は「殴り合っていた」と。

 「今後とも、娘との交際は反対!! 家族付き合いができて、自分の認められる相手ならばいいが、あいつはダメだ」

 弁護士「もう相手に腕力は振るわないと誓うんだね?」
 被告「誓います」
 弁護士「殴られても、殴り返さないよね?」
 被告「…努力します……」
 弁護士「声が小さいじゃないの」
 傍聴席からちょっと笑い声が上がる。

 被告は四件の前科あり。娘が離婚するときにも、被告と娘の旦那とでモメて器物損壊で訴えられている。若い時から、手がはやい性格。
 検察は懲役一年六ヶ月を求刑。判決は後日。

 以下、感想です。テレビの中でのような関係の家族。けれど、目の前にいる人達の日常なんですね。……子供は親を選べないからなぁ…。